語らない理由 | 考えすぎ

語らない理由

一度、分解したものは再び集めても
二度と元通りにならない。
分解したものを調べても、元通りのものを完全に知ることはできない。

だからこそ、大切にしていることほど人は語らない。
なぜなら、
解説して詳しく語ることによって、大切にしていたその事柄は分解されてしまうから。
分解されてしまったら、記憶も含めて元通りにならないから。

これは、「秘密主義である」のとは違う。
表面上は同じに見えることが多いし、「隠している」と誹りを受ける場面も少なくないが、
それでもなお胸に秘めておくのは、
ひとえに、それだけ大切にしている証拠でもある。

ただし、元通りのままにしておくことが常に最善であるとは限らない。
破壊と創造は、同じ事柄の別の側面に過ぎない。
一度、分解したものは再び集めても
二度と元通りにならないが、
また別のものを生み出すことができる。

大切にしているからこそ、時には
思い切って手放してみることも必要かもしれない。